日本×ウズベキスタン共同ビジネス発展の展望と課題

岡田 光太郎(おかだ・こうたろう)

2014 年 4 月プライベートでウズベキスタンを旅行し、ウズベ キスタンの魅力にはまる。入社以来 2015 年まで某 IT 企業半導 体デバイスの営業・マーケティング・新規ビジネス開拓に従 事。中央アジアマーケットの開拓を志願・提案し公共ビジネス 部門のグローバルチームに移籍。中央アジアビジネスの開拓を 担当する。現在、新興国の IT 化支援をミッションとする団体に 出向。ASEAN 諸国がメインターゲットであるが再び中央アジ アマーケットにエントリーすることを画策中。

新規市場参入に加え、中央アジアの知名度が極めて低く、まず は「とにかく知ってもらう」という点で労力を要した。新興国 のパブリックセクタービジネス推進のためには官民の連携が必 須であり、提案活動のために国土交通省主催の二国間の官民イ ンフラ会議や農林水産省の日ウ農業共同作業部会、日本ウズベ キスタン経済委員会主催の日ウ経済合同会議等に参画した経験 をもつ。

日ウ共同ビジネス発展の展望と課題について岡田さんにお伺いしました。

岩田 :
独立後、日本政府間の提携の歴史、要人の交流を踏まえて現在にいた るまでの経済交流の状況をお教えいた だけますでしょうか?

岡田 :
日本で初めてウズベキスタンを 訪問した閣僚は現日本ウズベキスタン 友好議員連盟会長の麻生太郎副総理(当時経済企画庁長官)で、現地では 非常に有名です。2006 年に小泉純一 郎が日本の総理として初めてウズベキ スタンを訪問しました。2015 年に安 倍総理が日本総理として初めて中央ア ジア 5 か国訪問(ウズべキスタンの 首相訪問は二度目)するまでは日本の 首相の訪ウがなかったのですが安倍総 理の訪問時には改めて日本人抑留者の 墓地や抑留者資料館、抑留者が建設に 携わったアリシェルナヴォイ国立劇場 を訪問し日本とウズベキスタンの特別 な絆に光を当てられました。私がウズ ベキスタンとのビジネス開拓を始めた ころにはすでに大きくは ・「中央アジア 5 ヶ国+日本」とい う外相対話の枠組み・「日本 – ウズベキスタン経済合同会 議(持ち回り開催)」 がありました。加えて日本側では現政 権になってから特に重視してきたのが 日本の質の高いインフラシステムの海 外展開を戦略的に推進することで、官 邸主導で 2013 年から「経協インフラ 戦略会議」を省庁横串で立ち上げてか ら積極的に官民連携で新興国に対しTOP セールスのアプローチを強化し ています。中央アジアもやはり総理の 5 ヶ国訪問をトリガーに各省が企業と 連携してさまざまな取組を行ってきて います。私は特に国交省が主催する「日本 – ウズベキスタン官民インフラ 会議」等に参加しました。直近すぐに 売り込めるものや手がけられるものが ない状況でしたが日本のインフラ技術 の先進事例を紹介しました。やはり政 府対政府(G toG)の枠組みで対話を することで通常なかなか会えない政府 高官とのバイ会談に同席したり通常な かなかたどり着けないコンタクトウイ ンドウを指定してくれたりするのでや はり政府と連携する TOP アプローチ というのは大切なのだなと感じまし た。

日本のインフラ技術に関してはや はり3つの「Japan Premium」と いうものをしっかりアピールする必要 があると思います。 ・高品質であること ・人材育成まできちんと行うこと ・維持管理、メンテナンスを重視する こと この3つをきちんと提供することで、 たとえ入札の段階で他国よりも高いも のであっても 50 年~ 100 年スパン で見れば LCC(Life Cycle Cost)が 削減できる。長い目でみればやっぱり 日本のインフラを導入したほうが安上 がりだよねと言っていただけるものだ と思います。ウズベキスタンには日本の「安物買いの銭失い」に近い「貧乏 人は2度金を払う」ということわざが あるそうです。ですので本質的に LCC の概念、良いものを使えばたと え導入時には高くても長い目で見れば お得であるということを理解されてい る人たちなのかなと思います。現場レ ベルではやはりシルクロード商人の末 裔ですからハードネゴシエーターは多 いのですが(笑。これら日本の強みを 私たち自身が強みとして自覚して自 信を持って打ち込むことが大事だと思 います。経済を発展させるために非常 に重要な要素としてはやはり安定した 電力を供給できる発電インフラの整備 が必須です。ですので近年、日本から の支援として電力セクターに対して大 型の円借款を実施しました。日本企業 の直接投資という意味ではいすゞ自動 車による地元企業との合弁企業
(SAMAUTO 社)が商用バス、トラッ クの現地生産を行っていますが現地で は非常に高い評価を受けています。も ともと勤勉で手先の器用なウズベキス タンの労働力が日本式の生産管理や品 質管理を活かした質の高い生産拠点と して高く評価されています。

つづく

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